日本の古代史を考える—⑤晋書四夷伝倭人条
『晋書』は『三国志』に続く正史であるが、書かれたのは「唐」になってからである。「晋」は司馬懿の一族が曹操の「魏」を簒奪して誕生した王朝で、西暦245年から420年まで続いた。三国に分裂していた中国を統一したのが「晋」である。しかしその統一は束の間で、西暦317年に匈奴(前趙)の侵略を受け、南遷を余儀なくされた。それまでの晋を「西晋」、南遷後の晋を「東晋」と呼んで区別するのが習わしである。
この書にも倭のことが書かれているが、明らかに『後漢書』の引き写しである。従って全文を紹介する意味はあまりないのであるが、いくつか指摘すべき点があるので、念のために触れておく。
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